幕末怪異聞録
「――って、言ってもまだ確信ではないからな。
鬼同士、ただ単に鬼尋坊を片方譲っただけかもしれないしな。」
明るく時雨はそう言うものの、土方は表情を崩さなかった。
「だが、それが誠であるなら大変なことになりかねない。
彼奴の一言で兵を動かせる程、家茂公は信用しきってんだ。もし、奴が知らぬ間に長州に組み入っていたら幕府は潰されるかもな。」
「えぇ!?」
まさかこれほど大事になるなどと思っていなかったため、時雨は驚くしかなかった。
「分かってるだろうが……。」
「他言無用……だろ?」
ニコッと笑う時雨にニヤリと笑う土方。
「分かってんじゃねえか。」
「私はいい女だからな。」
「……。」
「何だその目は。
私のボケは放置か?ツッコむくらいの勇気、武士(オトコ)には必要だろうが。」
「そんな勇気いらねぇよ。」
結局ツッコんでいる土方である(笑)