幕末怪異聞録
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「ねぇ!
そんな怒んなよ!全く大人気ないし!」
「うっせぇ!!テメェ俺が沢庵好きなの知ってて取ったんだろ!」
「当たり前だ。」
「……ほんと最悪だな。」
ギャーギャーと言い合っているのは土方と時雨で、どうやら時雨が沢庵を取ったことに機嫌を損ねたらしい。
「あ、土方さん……って、すげぇ機嫌悪いな。時雨、何やったんだ?」
そこへタイミング悪くはち合わせたのが原田だ。
「大したことないよ。この人の沢庵を私が食べただけだ。」
「うわっ!流石に俺でもそんなことできねぇよ……。」
げんなりする原田に時雨は「そうか?」ととぼけてみせた。
「時雨ぇ……。」
「もう、鬱陶しいな……。
分かったよ!昼の分の沢庵をやるから勘弁してくれよ!」
「ん?そうか?そこまで言うなら勘弁してやる。」
コロッと機嫌をよくした土方は意気揚々と去っていった。