幕末怪異聞録
「土方さんの扱い方がうまくなってきたな。」
「そうか?」
土方をうまくあしらう時雨を見た原田はそう思った。
「そうだ、お前まだ出て行かないよな?」
「ん?何だよ藪から棒に……。」
思ってもなかったことを聞かれた時雨は怪訝な顔をした。
「いいじゃねぇか。
で、まだ出て行かねえよな?」
せかすように笑みを向ける原田に、時雨はため息をついた。
「……出て行くぞ?
そろそろ出て行かねえと邪魔だろ?」
「えっ……!出て行くのか!?」
「さっきから何だよ。出て行ったら拙い(マズイ)ことでもあるのかよ!」
遠回しな言い方に時雨は少しムッとした。
「いや……。すまん。」
それでも理由を言わない原田に時雨は、近いうちに京で一波乱あるのかもしれないと感じた。
更に、それに触れてはいけぬとも感じたのだ。