幕末怪異聞録
カチャリ…
灰鐘は刀を鞘に納め、土方らの方へ顔を向けた。
「とりあえず鬼は斬ったが…
って、何つー顔しとんじゃ。」
灰鐘の呆れた声に我に返り、すぐさまキリッと眉間に皺を寄せた。
「手間をかけさせたな。すまなかった。
永倉、原田!山南さんを部屋に運んでやれ。
斎藤、藤堂は近藤さんに報告を頼む。
あとお前、肩斬られただろ?手当てしてやるから来い。」
「手当ては不要じゃ。
こんなの掠り傷じゃ!」
平気だと言わんばかりに腕を組むその左肩は血で真っ赤になっていた。
「馬鹿言ってんじゃねぇよ!
ほらっ!ついて来い!」
「そうだよ、灰鐘さん。
女の子の身体なんだから傷残したらお嫁行けなくなるよ?」
土方に腕を掴まれて無理矢理連れて行かれている途中そんなことを沖田が言うもんだから土方は足を止めてしまった。