幕末怪異聞録
「だから、吉田に憑いていた鬼を退治した。だが、吉田に憑いていた期間が長かったから吉田も死んだ。」
「退治屋とは妖怪の退治……。」
「他に何があるんだよ。」
やっと事を理解した桂は些か考え込んで、ぽつりと呟いた。
「西沢が来てから妙に殺気立ってたのはそのせいか……。」
「やっぱり西沢の馬鹿は長州と通じてんだな。」
口角を上げた時雨は、拳を握り締めた。
「アイツは何処にいる?長州にいるのか?」
「……何故それを君に言わなければならないのかな?」
「何故って?そりゃ、アイツに落とし前つけさせるために決まってるだろ?」
睨み合う二人の間に割り込んだのは坂本だった。
「あー!!もうやめるがじゃ!二人ともちくと落ち着け!」
その声に桂は少し落ち着き、「すまない。」と言った。
時雨はと言うと、ブスッと機嫌悪くそっぽを向きながら桂同様、謝罪の言葉を口に出したのだ。