幕末怪異聞録
出逢い
□□
「そこで何をしている。」
血海に立つその人に声をかけるは浅葱色の羽織りに身を包み、漆黒の長い髪を一つに結い上げている新選組の者だった。
「…。」
「口を開かぬか、この不届き者めが!」
口を開こうとしないこの者にイラついたのか、後ろに控えていた新選組隊士は抜刀し、切りかかった。
「――っ!
ちょっ…!
儂はあんたらに敵対される筋合いはないぞ!?」
ひらりと交わし、逃げようとした。
カチャリ…。
しかし、それは叶わなかった。
「残念ながら僕らは君を敵対する理由があるんだよねー。」
背後に向けられる刀の気配に身を固めた。