幕末怪異聞録


「おい新八、やめてやれ。お前が怪我したとしても元気だろうが、時雨はそうじゃねぇんだ。」


「時雨、すまねぇな。新八は女の扱いなれてねぇんだ。」


土方と原田は口々に永倉に毒を吐いた。


「分かっている。新八が馬鹿でずぼらな人間だということは。」


ついには時雨にまで毒を吐かれた永倉は軽く拗ねてしまった。



「もういいぜ!馬鹿でずぼらな俺は一人で飲みに行ってやる!」


「勝手に行け。筋肉馬鹿。」


「うわーん!」


時雨にとどめを刺され、泣き真似をしながら去っていった。


それを見た原田は「すまねぇな。」と言って永倉を追いかけていった。



「―――やっと静かになったか……。」



「土方、部屋で何をしてんだ?」


そう言って部屋に入る土方に時雨は声をかけた。



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