幕末怪異聞録


「何って……。報告書書いてるに決まってんだろ。

……一つ言うが、邪魔するな―――」

「お邪魔しまーす!」


「って、勝手に入るな。」


「だって暇だもん!」


「じゃあ総司に遊んでもらえ!」


早く報告書を書いてしまいたい土方は時雨の相手なんてしたくなかった。


それでも引き下がらない時雨は……


「総司?駄目!

土方がいい!!」


「はぁ?何でだよ。」


「何でって……。土方の方が好きだから!」


「――!?」


ニコッと笑う時雨に些か戸惑う土方。


だが、一つ勘違いをしている。


時雨の

“土方の方が好きだから!”

は、後に

“いじったときの反応が。”


と続くのだ。


もちろん時雨に他意はない。


そんなことなんて全く想像していない土方は、それ以上言わず頭をかきながら時雨を部屋に通した。



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