幕末怪異聞録
【向日葵】
□□
――――――――――………
慶応三年――……
時は流れることを止めず、ただただ流れてゆく
池田屋事件、禁門の変から三年の月日が流れた。
幕府から追われ、長州から追われ、何かとついていない時雨であったが、仇はとれた。
所期の目的は果たすことができた。
そのため江戸にある実母の家に戻っていたのである。
三年という月日は、時雨の心と身体を十分に癒したのだ。
この先も穏やかな日々を過ごせる。
そう信じてやまなかった時雨だが、どうにも時雨という人物は運命に翻弄される。
そんな人生を再び歩むこととなるなど、微塵も感じていなかったのだ――――――………