幕末怪異聞録
土方は腕を組み、眉間に皺を寄せた。
「半分が妖怪ってことか?」
「如何にも。
私の父はそんじょそこらの妖怪ではなく、龍…なんだ。
で、母は巫女だった。」
真面目な顔で話す灰鐘が嘘を言っているようには見えなかったが、あっさりと信じれる話でもなかった。
「ははっ…。
それを俺に信じろと言うのか?」
疑心暗鬼な瞳を向ける土方に、灰鐘は分かっていたと言わんばかりの笑みを浮かべた。
「別にあんたが信じたくなければ信じなくても結構だ。」
灰鐘は幾度となくこのようなやり取りをやってきたのだろう。
用意されていたかのような返答に土方は頭をかいた。
「―――いや…
すまなかった。続けてくれ。」
(何とも冷静な奴だな…。)
心の中で感心した灰鐘は再び口を開いた。