幕末怪異聞録
「はぁ…。」
と大きなため息をついたこの者は、刀から手を離し緊張を解き、最初に声を発した男に目を向けた。
それを確認した男は口を開いた。
「お前、何故コイツを斬った?」
「これは“あやかし”に取り憑かれていた。
だから斬った。」
「あやかし……だと?」
意味が分からないと言わんばかりに眉をひそめる男にこの者は、先程切ったモノを指差した。
「見てみろ。」
「―――!!」
人と言われていたものは灰となり消えていった。
「それが“あやかし”に取り憑かれ人間の末路だ。」
ふんっと腕を組み、めんどくさそうに言った。
「――お前、一体何者だ?」
「儂は灰鐘陽輝(ハイガネハルキ)。
退治屋だ。」