幕末怪異聞録



「原田のせいだからな…。」

と睨みを効かせた土方は、灰鐘を問題の部屋に連れて行った。




「―――ここだ。」



その障子の先には、綺麗な部屋で全く生活感のない部屋だった。



「……。」



灰鐘は、自分から部屋に連れて行けと言ったにも関わらず、部屋に入ろうとしなかった。



むしろ、部屋の中を見ただけで後退り、閉めてしまった。



そんな様子を不審に思い、土方は灰鐘の顔を覗き見た。



その顔は少しばかり青ざめているように見えた。



「おい。
何か分かったのか?」



土方の質問に答えようとせず、灰鐘は土方の顔を見据えた。



「お前らは同士を切り捨てたのか?」



その質問は土方だけでなく、一緒について来た原田にも向けたものだった。



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