幕末怪異聞録
腕を組んだ土方は鼻で笑い、灰鐘に顔を向けた。
「そんなことを部外者のてめぇにホイホイ話す訳ねぇだろ?」
「確かにそうだ。
むしろ話されたらどうしようって思っていたところだ。」
灰鐘はカッカッカッ!と笑い(顔は笑っていない…)ため息を吐いた。
「とりあえず、この部屋にいる元凶の女の霊と話してくるから、お前ら絶対に覗くなよ?」
部屋に入り、障子を閉める瞬間再度「開けたら斬るからな?」と言い残し、ピシャッと障子ん閉めた。
残された男二人は、はぁ…っとため息を吐いた。
「原田、そこで見張ってろ。
俺は仕事に戻る。」
「え?土方さんだけずりぃ!」
「うるせぇ!
お前夜非番だろうが!四の五の言ってねぇで番してろ!
覗くなよ?あいつなら本気で斬りそうだからな。」
「わかったよ…。」
観念した原田はドカッと胡座を組んで座り込んだ。