幕末怪異聞録


それから梅はペラペラと胸の内を話し始めた。



『芹沢はんは浪士組が好きで色々してはったのに…
今の新選組があるのは芹沢はんのお陰やのに!!

確かにおいたが過ぎたかもしらんけど…

だからって斬り捨てるなんて、あたしは許せへん!!』



淀んでいた空気が更に淀み始めた。



(――このままじゃ危ないな…。)



「私は何があったか詳しく知らないから口出しはできないけど、お梅は芹沢って人がとても好きだったんだね?」



その言葉に梅はポッと顔を赤らめ、小さく頷いた。


それを見た灰鐘はニコッと笑った。



「だったら、こんな所で新選組にちょっかい出すの止めて、芹沢さんの所に行ったらどうなの?」



梅は少し考えて、今度は首を横に振った。



『それでも新選組が許せへんから、ここから離れられへんのどす…。』



そう言って静かに涙を流す梅を見た灰鐘は首に掛かる数珠を外した。



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