幕末怪異聞録
ジャラジャラ……
その数珠を手でこすり合わせて、梅を見た。
「お梅、あんたこのままだと悪霊になってしまう。
そうなったら私は背中の太刀であんたを斬らなきゃならなくなるんだ。
それは私が嫌だから、自力で成仏してな?」
余りにも横暴な灰鐘の物言いに梅は思わず吹き出した。
『あんさんやっぱり変わってはるわぁ!
――で?あたしはどうしたらええの?』
「とりあえず、この部屋の空気を綺麗にする。そしたら三日は保つから。頑張って。」
『なんやの?たった三日しか保たへんの!?』
「五月蠅いなぁ…!あんたが悪さするからいけないんだろ!
もう、部屋の浄化するからな!」
数珠を持つ手に力を込めると、部屋が光に包まれ空気が軽くなった。
「――悪霊になれば芹沢さんの元には行けぬと肝に銘じておけよ?」
そう言い残し、灰鐘は部屋を出て行った。