幕末怪異聞録
入ってきたのは沖田だった。
予想外過ぎて、固まっている。
そんな状況を打破しようと、灰鐘は声を上げた。
「総司、勘違いするなよ!?
これは狼牙なんだ!
お前がさっき食おうとしていた犬だよ!」
それを聞いた沖田はハッとし、ニヤリと笑った。
そして近づいて狼牙の首根っこを掴んだ。
「へぇ~…
これがあの犬っころなんだ~…
でもさ、例え飼い主でも時雨を襲ってるようじゃ、犬鍋にしちゃうよ?」
ね?と言うと、狼牙は犬に戻り、怯えて灰鐘の後ろに隠れた。
が、
ガシッ!
「テメェ、次やったら捨てるっつったよな?」
「え!?本気なの、時雨!」
「当たり前だ!」
そう言って灰鐘は外に狼牙をほっぽりだした。
(前もあったんだ…。)
と沖田は内心思ったのだった。
「あ。そうだ、夕餉の時間だよ。」
「おう。行く!」
沖田と灰鐘は狼牙を置いて夕餉を食べに行った。
「俺も連れて行ってよー!」