幕末怪異聞録
「あぁ。よろしく。」
ニコッと灰鐘が笑ったところで障子が開いた。
「トシすまない!
書物の整理をしていたら遅くなってしまった!」
厳つい面持ちの男が突然入ってきたため、灰鐘は目を見開いた。
そんな灰鐘に気付いた男は、少し微笑んで灰鐘の前に座った。
「いや~…
すまなかったね。総司がいきなり殴ったりして…。
私は局長の近藤勇だ。」
「は、はぁ…。」
若干近藤の迫力に気圧されながらも返事をした灰鐘は、一つ咳払いをした。
「儂は灰鐘陽輝じゃ。
ここはあやかしの気配が濃くする。
今はまだ大丈夫じゃろうが、このままでは新選組が崩壊しかねない。」
鋭い灰鐘の左目に近藤は少しばかりたじろいだ。