幕末怪異聞録
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「あ!灰鐘さん、朝餉いるの?」
「ん?頂けるのならば頂きたいのだが…。」
沖田の問いかけに灰鐘の腹も返事をした。
「あははっ!
すぐに持って来るから。」
沖田がスッと立ち上がったとき、障子の外から声がした。
「山南です。入りますよ。」
山南と申した男は、朝餉を手に持ち入ってきた。
「朝餉がいるかと思ってお持ちしました。
私は山南敬助と申します。」
「―――儂は灰鐘…陽輝じゃ。」
朝餉を灰鐘の前に置く山南敬助。
その瞳の奥に潜む怪しげな光りを灰鐘は見逃さなかった。