幕末怪異聞録
その日の夜いつものように温かいご飯を食べ、お風呂に入り、三人一緒に布団に入った。
本当に“いつも通り”
だが明らかに違った。
この日が、この村の最後の日だなんて思いもしなかった―――
ドーン!
「ギャー!!」
「!?」
それは突然起こった。
大きな爆音に誰かの叫び声。
事件とは全く無縁だった村だったため、時雨は何事かと飛び起き外に顔を出した。
「―――え……?」
その瞳に写る景色を理解することができなかった。
そこにあったのは、燃え盛る家々、逃げまどう人、斬り捨てられる人、まさに地獄絵図であった。
そんな光景に動くことができなかった。
「時雨?どうしたんじゃ?何があった?」
眠た眼を擦りながら、陽斗が時雨の上から外を覗いた。
「――!!
なんじゃこりゃ!
時雨!陽輝!裏から逃げる――」
ズドーン!!
「陽輝!!」