ベンニ
「どけよ。」



ベンニはその少年をじっと見て言った。いまやベンニには怖いものは何もなかった。不思議とエネルギーが満ちていた。



殺気を感じたのかその少年はベンニから目をそらし、他の少年に向かって言った。



「行こうぜ。こんなガキ。」

最後まで言う前にその少年は足早にベンニの横を通り過ぎ、他の少年たちも後に続いた。




ベンニは信じられなかった。ウ゛ォルフィと知り合うまで、ベンニはこういう時はいつも何かしら殴られていたので、無傷の自分に驚いていた。
< 31 / 79 >

この作品をシェア

pagetop