不思議な人
「校内を綺麗にしてくれて、ありがとう」
「…坊主、昨日の…」
「親切にしてくれて、ありがとう」
「…坊主…」
「心から、感謝します」
青年はドアの向こうの主に向かって、礼をした。
すると、ドアが開いて、昨日の主事がでてきた。
「坊主、ありがとうな。お前さん、気づいたのか」
「えぇ、まぁ」
青年は恥ずかしそうに頭をかいた。
「これで、成仏できるよ」
「はい…」
青年の瞳に涙がうつった。
「一緒にいたいか?」
「もう少し、話したかった…」
「じゃあ…」
主事が無表情で言った。
「一緒に来るか?」
青年の顔が青ざめた。