不思議な人
少しすると、水を流す音がした。
「ごめんな、坊主」
「い…いえ…」
青年はドキッとした。
それは…
「なぜ、そんなに服がボロボロなんですか…?」
青年は恐る恐る聞いた。
「あぁ、これか」
あはは、とおじさんが言った。
「いやぁ〜、ちょっとな」
「ちょっと?」
「あぁ。校舎内を細かく掃除した後、こんなんなっちまったんだ」
青年はホッとして、笑顔になった。
「どこを掃除したんすか?」
「全てだよ、全て」
おじさんは「なんたって、ここの主事だからな」と付け加えた。
青年は驚いた。
「主事さんか!」
青年は、おじさんの着ている服に見覚えがあったのだ。
「誰だと思っていたんだい?」
「いや、その…誰かわからなかったっす」
青年は苦笑いをした。