日常がキケン!

「え‥?」


「でも、助けてくれた人がいたんです。
だから俺はその事はすぐに忘れました」


俺は転校初日を思い出していた。


俺がとちって、皆に笑われていた時、大きな音で、皆の注意をひいた先生。

そういえばまだ、御礼を言ってないな。



「だから先輩も忘れましょう。
‥‥俺達が助けますよ」



先輩は目を丸くした。

隣にいた真白が頷いたのが分かった。


「吹奏楽部の部長には、かけあってみますよ。でもやっぱり、僕たちの声量では足りないから、戻ってきてほしいんです」

あなたに。


先輩の手を取り、真白は無垢な瞳で相手を見つめた。


皆が、ようやく動き始めていた。


大きな音を鳴らすのは、俺なんだ。

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