日常がキケン!
「‥‥」

しかし、高杉は聴き入ったように目を閉じて答えようとしない。
腕組みをする失礼な態度に、脳が沸騰してきそうだ。


「おい、どうなんだよ」

俺は高杉の肩を押した。
また、しわがよった。


高杉は、窓の外を眺め
「君は、あの試合の事を知っているのか?」
と言い放った。



「‥‥いや、吹奏楽部が応援団の邪魔をしたとしか‥‥」

「なら、その日の試合の結果も、そのゲームの状況も知らないのか?」

「‥‥まぁ」


知らないな、
と口から弱々しい返事が出た。

早口で言う高杉の口調は、無知な人間を見下すようなもので、怒りと同時に怖じけづいてしまう。



すると、やはり見下していたように ハッ とため息をついてから、俺の元に歩いて来た。


「‥‥なんだよ」


そう言った俺を無視して、耳元にそっとささやいた。

「部室に行けば、野球部の試合活動が見れる。
4月15日のグラウンドで行われた試合の、8ゲーム目を見れば良い。
妨害された‥‥などと言われているのは、きっとそこだろう」



引き止める暇もなく、吹奏楽部部長はドアに手をかけていた。

追おうとした時、こちらを振り向き呟くと、笑いながら去って行ったのだった。


「‥‥野球部部室はグラウンドの横にあるからな。
わからないからって、教師に尋ねるなよ。
‥‥無知な転校生君?」


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