日常がキケン!
「んー、間に合って良かったなぁ」
「だね」
食堂からの帰り道、俺達は星の下を歩いていた。
これから、野球部の部室に本を返しに行くのだ。
食堂から部室までは、それほど遠くはないんだけど、なんだか今夜は肌寒い。
大地は、ポケットに手をツッコミながら、俺の歩幅に合わせて歩いていた。
「本、何に使ったんや?」
大地が言った。
俺は戸惑いながらも口にする。
「‥少し、交渉に」
「交渉?ハハ、そか」
あっさりと終わった会話に、首を傾げる。
「詳しくきかねぇの?」
そんな俺の態度に、大地は爽やかに笑った。
「‥びゅんがオレに話したければ、ずっと聞いてるよ」
大地の瞳から目を逸らした。
瞬時に顔が赤くなった。と思う。
いきなり標準語で言われるなんて、反則だ。
あまりにもかっこよく笑うから、俺はどんな態度を取ればいいのか、わからない。
赤くほてった顔を見られたくなかったのに、幸か不幸か、俺達は部室に着いてしまった。
明かりがつく。
大地が俺の顔を見る。
目を見開いたのが、なんとなくわかった。