花日記
あの白拍子は何だったんだ?
気にはなるが、それより今は女だ。
辺りを見回し、遊女を吟味するものの、どうにも綾子似のあの白拍子が気になる。
それを振り払うように近くにいた割と美人の遊女に声をかけ、そのまま遊郭の中に入る。
その女を抱いて、しばらくの眠りについた──
はずだったのに、目が冴えて眠れない。
おかしい。
さっきから頭の中を巡るのは、綾子とあの白拍子のこと。
やっぱりおかしい。
今まで女のことなんか考えたことなかったのに。
考えても、遊女を選ぶ時や夜這いを掛ける相手を選ぶ時くらいだった。
…変だ。
「ん…」
眠ってしまおうと何度も寝返りを打ったためか、隣にいた女も目を覚ましたようだ。