花日記

「かっ、覚悟は出来ております!」



夕凪は身体をガチガチにし、大声でそう言った。



「プッ…!」



俺は思わず吹き出すように笑う。



「ははははは…っ!!!
そうかそうか、覚悟は出来てるかっ…!
ははははっ…!
だが安心しろ、取って食うようなことはしねえよ!」



いきなり笑い出した俺を見て、夕凪はポカンとする。



「公方様?」



「はぁ…!
お前も疲れただろう、寝るぞ。」



「ええっ!?
し、しかし公方様っ!」



夕凪は驚いたように声を上げた。



俺はつくづく意地が悪いようで、そんな夕凪をたまらなくからかいたくなって


「なんだ、抱いて欲しかったのか?」



と問うた。



「え!?
い、いえ…!
あ、いや、その、えぇっと…。」



夕凪が狼狽しているのを気にせず、俺は言葉を続ける。



「なら、期待には応えなきゃ、だよな?」



ニヤリと笑って夕凪に近づいていく。



夕凪は顔を真っ赤にして固まっている。



その固まった身体を抱き寄せる。



「く、公方様…」



絞り出したように言葉を紡ぐ夕凪の身体は、ガタガタと震えている。



──意地悪をし過ぎたようだな。


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