花日記
そのまま、夕凪を御所の中まで連れて行った。
特に、頭を働かせること無く、ただ自然に。
さも、それが当然であるかのように。
俺の部屋にほど近いところまで、それを全く意識しないで手をつないだまま。
部屋の前にいくと、そろそろ夜更けだというのに明かりがついていた。
そこで俺は、始めてこの状況がまずいことに気づいた。
…俺としたことが。
普段なら、もっと気を張って、誰かと伴って歩くことすらしないというのに。
夕凪も、俺の足が止まったので、心配そうにこちらを見る。
ここまで来てしまったのだ、もうあとにはもどれない。
このまま、夕凪を一人で帰らせるのは、かなりの危険が伴う。
ならば。
俺は、堂々と自室の扉を開けた。