花日記

「ったく、勘弁してくれよな。
俺にゃ、明日が待ちに待ったたまの非番なんだからよぉー。」



成兼には、部屋にくるなり、心底迷惑そうな顔をされた。



無論、非番に呼び出した俺が悪いのだが。



成兼は夕凪の姿を見ても、正家と違って全く動揺していない。



それは、単に成兼が夕凪の存在を知っているからというわけではないだろう。



こいつのことだから、今の俺の心情すらお見通しなのだろうから、本当にたちが悪い。



唯一の理解者の、兄貴同然のこいつのことだから。




「で、俺にどうしろって?
姫への言い訳ならお断りだぞ。」



「いや、そういうんじゃ…。」



「じゃー何?
この子を街に送り届ければ言い訳?」



そう言われてしまっては、何も言えない。



なぜならば、成兼を呼び出したのは、単に今後の処理に困ったからであって、特にどうしろという指示があるわけじゃなかったからだ。



我ながら、将軍失格だよな、とは思うが。


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