花日記
それに何より、俺が夕凪をどうしたいかが今後に関わってくるのだ。
軽はずみに、側に置きたいなどと言ってしまえば、夕凪に昨日までのような朝は二度とこない。
一生、御所に囲われて、身分の低い遊び女として生きる羽目になる。
将軍の俺にはそれが可能であるし、身分の高い男が女を囲うことは、それほど珍しい事ではない。
ただ、俺はそんな奴らとは一緒にされたくなかった。
たたの、俺の自己満足であることは重々承知しているつもりだ。
それでも。
将軍たる俺が、こんな風に一人の女の行く末を気にするものではないだろう。
ただ、俺が正常なものとはかけ離れたものであることは、俺のそば近いもの、とくに成兼や正家にはわかり切っていることである。
だから、これが相当な面倒ごとであることも、目に見えているのだろう。
二人には悪いが、とにかくまずい状況であることに変わりはない。