花日記
ーー銀の世界だ。
冬の、真っさらな白銀ではなく。
薄墨色に染まる、何処か暗い、銀の世界。
見たこともない位、天高くそびえる建物も。
地面ですら、薄墨色の銀の世界。
ここは何処だ?
銀の世界で歩く人は、見たこともない着物を着て、早足で、銀の建物に入っていく。
何をしているのかは、わからない。
ただ、その中で使う調度のひとつひとつでさえ、将軍家に生まれた俺ですら知らない何かであることは確かだ。
“この世界”は一体…