花日記
正家に無理矢理寝かされてから、暫くが経った。
何をするでもなく、正家は俺の側で座っている。
…暇だ。
別に、正家がべったりなのはいつものことなので気にすることはないが、暇で暇で仕方が無い。
普段もさして面白いことがあるわけではないが、書を読んだり、剣術をしたり、時には鷹狩に行ったりと時間を潰す術はいくらでもある。
街に遊びに行くのも悪くない。
しかし、ただ褥で寝ているというのはつまらない。
さて、どうするか。
「公方様、失礼をば仕ります。」
部屋の外から成兼の声がした。
退屈していたので、丁度いい。
「入れ。」
寝たまま、許可を出す。
成兼は部屋に入った途端、俺と正家を見てため息をついた。