花日記

「お前が体壊したっていうから、様子を見に来たんだが…。
今度のは、どっちだ?」



本当に体が悪いのか、正家が大げさに騒いでいるのか、どっちだと。




成兼はそう言っている。




正家が俺を過保護に扱うのは、十五のときに倒れてから度々あったことだ。




大したことが無くても、大騒ぎして俺を褥に貼り付けて自分もそこから動こうとしなくなる。




俺を心配しているのは伝わるが、少し、いやかなり面倒くさい。




だから、成兼はどっちだ、と聞いてきた。



黙って正家に視線を向けると、正家は俺から視線を逸らした。



それを見た成兼は、やっぱりな、と呆れている。



「ま、明日にでも出してやるから今日は我慢するんだな。」



「へーへー、わかってるよ。」


「ま、その様子なら大丈夫だろ。
安心したよ。」



「それはどーも。
暇でそうともいかなくなるかも知れねえけどな。」



「はっ」



軽口を叩いてはいるものの、暇なのは本当だ。



時間を潰すいい手はないものか。



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