花日記
「なんでわざわざ人払いなんか…。
まさかお前、姫とよからぬ事を」
「するわけないだろう。
昼間っから。」
「昼間じゃなきゃするのかよ。
ていうか、お前そんな事気にしないで昼間っから色街に行ってたじゃねえか。
…じゃなくて!
何故人払いをする必要がある?」
成兼が、今度は真面目な顔で聞いてくる。
まだこいつは、綾子のことを不審に思っている、というわけだ。
たしかに、俺が突然連れて来た(ということになっている)素性もよくわからない女であることは確かだ。
未来から来た姫、と伝えてはあるが、何処かの密偵である可能性も大いにある。
そんな女と、二人きりになどさせられないと成兼は言っている。
成兼の言い分は最もだ。
それに俺は、今は褥にはりつけられている無防備な状態だ。