青騒-I SAY LOVE-


私は二人にも同じ質問をぶつけることにした。

ワタルさんは即答で「肉!」
ハジメさんは少し思案して「魚かな?」

二つに意見が割れた。

この意見から、私は喧嘩を好んでする組はお肉、おとなしめ組は魚なのかもしれないって憶測を立てた。

ハジメさんが魚って答えても私、驚きも何もしなかったし…、取り敢えず今は3:1でお肉が圧勝している。


残りはケイさんだけだ。


多分、ケイさんがどうに転がってもお肉になりそうだけど、一応聞いてみないと。

あ、聞いてみないといけないといえば…メールアドレスも聞かないと。



それにしてもケイさん、何処に行っちゃったんだろ?
 


ゲームセンターをあらかた回ったんだけど姿が見えない。

そういえば弥生ちゃんも姿がないなぁ。
響子さんは化粧室で化粧直し中だし。二人とも何処に…。

BGMの煩いゲームセンターをグルグル徘徊、お目当ての人物を捜す。と、ゲームセンターの出入り口自動扉向こうにケイさんの姿を発見した。

ケイさん、ゲームセンターの外で缶ジュースを飲んでるみたい。

見つけた、少しだけ鳴る鼓動を抑えて早足。自動扉を潜った。
 


出た途端、


ふわっと肺に入ってくる外の冷たい空気。

鼓膜を振動する自動車の走り去る音に、街の雑音。

「あ、」漏れる私の声音。



全部がいっぺんに感覚神経を刺激した。
 

ゲームセンターの外でケイさん、そして弥生ちゃんが缶ジュースを飲んでいた。

それだけの光景なのに何となく、息が苦しいような、寂しいような。

笑声を漏らしている二人は、建物の壁に背中を預けて和気藹々と談笑している。


そこだけ切り取ったように明るくキラキラ輝いている世界に見えたのは、私だけ?
 
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