青騒-I SAY LOVE-
呆然の唖然として弁論大会を聞いていた私の余所で、
「心強ぇ弟分を持ったもんだ」
とヨウさんがポツリポツリ。
なんだかヨウさん、遠目の上に台詞が棒読みだったけれど、きっとそこは敢えてスルーしないといけない場面。
私は何も触れなかった。
ヒートアップする弟分二人は、ワンワンギャーギャーと「ヨウさんはカックイイ!」「ケイさんだって負けてねぇ!」「ヨウさんは顔も心もイケメン!」「ケイさんは心と行動が男前!」「喧嘩の身のこなし最高!」「チャリ捌きは惚れる!」「尊敬すべき!」「兄分だぁあ!」延々延々、もう収拾がつかないほど熱くアツく語っていましたとも。
さすがに私、ヨウさんに、
「ご熱心な弟分さん達ですね。な、なんだか微笑ましいです」
と、苦笑い。
そしたらヨウさん、
「愛され過ぎだよな俺」
遠目のままポツリポツリ。
やっぱり台詞は棒読みだった。
で、
「俺っち頑張るぞ!」とキヨタさんが意気込む隣で、
「オレも!」と意気込むモトさんがパァッと目を輝かせてヨウさんにブンブン手を振る。
「ヨウさぁああん! オレ、頑張りますからね! いつまでもいつまでもお供しますから! それこそ喧嘩でも、病院でも、監獄でも!」
「……、なんで俺、逮捕される予定が入ってるんだよ。縁起でもねぇ。…て、馬鹿っ! テメっ! 突っ込んでッ、うわっツ!」
ドンッ、「イッテ!」尻餅つくヨウさんと、「すんません!」勢い余りました、焦るモトさん。
えーっと状況を説明すると猪突猛進でモトさん、ヨウさんに突っ込みました。
多分ギリギリで急ブレーキを掛けて立ち止まる予定だったと思われます。はい。
でも昂ぶった気持ちが強く出過ぎたみたいで、モトさん、ヨウさんに突進。
揃って地べたに転がったという…、素晴らしい友情光景だと思います。