青騒-I SAY LOVE-


でもちょっと羨ましい…、モトさんみたいに周りの目なんて気にせず気持ちを吐き出せたら、どんなにすっきりするだろう。


「モトっ、てめぇっ…加減を知れ! ちったぁ抑えろ!」

「よ、ヨウさん、それは無茶ですよ! オレのヨウさんを尊敬する気持ちに“加減”なんて単語、存在しませんもん!」

「ちっげぇ…、突っ込んでくる力を抑えろって言ってるんだっ」


うーん、此処まで周りの目を気にせず気持ちを吐き出したいとは思わないけれど。 

微苦笑を零す私のそばで、

「この阿呆」弟分の頭を小突くヨウさん、
「へへっ」モトさんは失敗しっぱいと頬を掻いて一笑。

「いいなぁ!」俺っちもしたい、そんなやり取り! とかキヨタさんは背後でぶうぶう文句垂れていた。


だけどすぐにモトさん、不機嫌に溜息をついているヨウさんの表情を見て「なんかあったんですか?」いつもと調子違うくないですか、と気遣いを見せ始めた。
 

そうかな?

ヨウさん、いつもどおりだと思うけど。
 

私やキヨタさんはそう思っていたのだけれど、

「悩みでもあるんですか?」

悶々と悩むなんてヨウさんらしくないですね、とモトさんは微苦笑。
ちょっとだけ驚くヨウさんだったけど、「なんで分かっちまうのかな」って頭を掻いて同じように微苦笑。
 

モトさんの言うとおり、ヨウさんはちょっとばかり悩みを抱いていたみたい。


大した悩みじゃないのか、それとも私達に聞かれても大丈夫な内容なのか、ヨウさんはその場で胡坐を掻いてうーんと唸った後、モトさんに質問をした。

それはヨウさんらしくない質問。


「なあモト。なんっつーかさ、俺、兄分として見込みあるか? テメェは俺を慕ってくれてるけど、あー…あんま俺、兄貴らしいことできてないっつーか」

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