青騒-I SAY LOVE-
私や弥生ちゃん、ハジメさんといった喧嘩できない組はいつ、どこで襲われるか、喧嘩を売られるのか、毎日がドキドキのハラハラ。
神経が参っちゃいそう。
少しは皆でパァッと遊びたいっていうのが本音だったりする。
私自身が響子さんみたいに喧嘩、できればなぁ…、ちょっとは見方が変わっていたと思うんだけど。
私服に着替えながら悶々としていると、ばあばが自室に入って来た。
昨日畳んでおいた洗濯物を私の箪笥に入れにきたみたい。
ばあばは私の身形を見るや否や、「あらあら」困ったように笑い、肩を竦めてきた。
「こころ、お洋服買わんといかんねぇ。ちょっと地味よ、それ」
地味…、確かにクリーム色のカットソーとジーパンじゃ地味かもしれないけれど。
「別にいいじゃん…」元々派手じゃないお洋服が好きなんだし、ぶう垂れて返したら、
「好いてる男の子がいるんでしょう」
ちゃーんとお洒落ばせんと、なんてばあばに指摘されてぐうの音も出なくなる。
で、でも今日もケイさん、来ないかもしれないし。
それに私は意識してもらおうとか思って…、思ってもらいたいけど、でもケイさんの心中には弥生ちゃんがいるし。
むっすりと脹れる私は、「いいもん!」強く反論して手提げ袋を肩に掛けた。
苦笑するばあばは、「皆と仲良くね」目尻を下げて、外出を楽しんでらっしゃいと綻んでくれる。
……ばあばには喧嘩のことや日賀野さん達のこと、全然話してないんだ。
今日のことも不良さん達と遊びに言ってくるって旨だけ伝えている。
話したら、きっと心配されちゃうから。
言われないと思うけど、もしかしたら縁を切れ、なんて言われるかもしれない。それはヤダだから。
自室を出た私は廊下で擦れ違うじいじに、「いってきます」挨拶。
玄関口でスニーカーを履いた後、軽快な足取りで外へと飛び出した。
「わあ、眩しい」
外に出てみると快晴空、燦々太陽、とっても好いお天気。
集会であれ、なんであれ、こうやって用事があって外出することは私にとって凄く嬉しいこと。
だって小中時代…、あうあう…、思い出すだけ虚しくなるから考えないようにしよう。