青騒-I SAY LOVE-


「早く皆さんに会いたいな」


その一心で、私は早足で坂を下る。  

チームの皆は私にとって大事なお友達。癖のある人達ばかりだけど、一緒に居てついつい時間を忘れてしまう人達だから。

ケイさんも今日は…顔を出せるといいな。
無理して欲しくない一方で、会いたい気持ちが募っていく。


早くケイさんが元気になりますように。
 

四つ角の交差点を通り過ぎ、古本屋の前を通って住宅街へ。

たむろ場まで残り半分、あともう少し、というところで後ろから声を掛けられた。

最初は道を尋ねに声掛けをされたのかな? って思ったんだけど、振り返った瞬間、顔が強張った。

だって背後には怖そうな不良さんが二人(男)、こっちに歩んで来て…、ど、ど、どうしよう。


絶対に道を尋ねに声を掛けたわけじゃないよねっ。


此処でとっとと逃げれば良かったんだけど、恐怖が勝って私はその場に立ち尽くしてしまう。

身を小さくして、「なんでしょう」取り敢えず用件を訊ねる。


で、私にしては勇気を持って、勇気を持って、口答えしてみたり。


「い、急いでるんで…用件は手短に」


が、が、頑張ったよ、私。

すっごくすっごくすーっごく頑張って自分の思ったことを口にしたよ!

だけど、不良さん二人の内ひとりに「あ゛ーん?」って言われて勇気がポッキリと折れてしまった。


ううっ、悪いことは言ってないのに。

本当に急いでるのにっ。
 

恐怖ばかりが募る中、不良さん二人は私の前に立つや否や、「荒川とつるんでるだろ?」凄みを利かせてガンを飛ばしてきた。

つ、つるんでますけど此処でつるんでますと言えば、きっと私の身に厄介事が降り注ぐ。

卑屈で臆病な私でもこういった状況判断はできる、できるんだから!

ブンブンとかぶりを振って誤魔化し笑い。


「あ、あの…退いて…下さい」


なんて言ってみたり。
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