青騒-I SAY LOVE-


「あ゛あ゛ん?」
 

ご、ご、ごめんなさい。
生意気言いましたっ。
 
ギュッと体を縮み込ませる私に、


「聞いてんのか!」


怒声を張られてじわっと背筋に嫌な汗が流れてきた。

どうしよう、自力でこの状況を打破するには無理があり過ぎる。


私、足遅いから逃げようとしても逃げられないし。

喧嘩? 返り討ちが目に見えてる!
それに相手は男の子っ、勝てる筈がない。


「なーあ?」顔を覗き込んでくる不良に、私はビクビクッと後退した。

ヨウさん達に連絡…、携帯取り出す隙っ、あるかなっ。


もし携帯を奪われたら私、どうなっちゃうんだろう。

誰かに助けを求めたくても、通行人はことごとく私達を避けてるし。


「チッ、シカトかよ。まあいい。荒川とつるんでるってことだけは確かだしな。連れて行くか」

「そうだな」


ど、何処に連れて行くつもりですか?!

「来い」

軽く腕を掴まれて、私は恐怖に喉が引き攣った。
何処に連れて行かれるんだろう、私。


騒いだらっ、誰か、助けてくれたりするのかなっ。


でも恐怖のあまり声が「ふぎゃ!」
 

私の腕を掴んだ不良さんが奇声を放った。


次いで、前のりになってそのまま転倒。一体何が、呆然とする私の前で、自転車が横切った。

どうやらその自転車が、私を掴んでいた不良さんを轢いたみたいなんだけど。



瞠目、その自転車に乗ってる人って―――…。




「はぁっ…辛っ! 病み上がりな俺を舐めるなよコンニャロウ! 激シンドイんだぞ!」
 
 


ケイさん―…。



後ろから勢いづいて残っている片割れの腹部に蹴りを入れた人は、大きく息をついて急ブレーキを掛けると「ココロ、乗れ!」声音を張って私の名前を紡いでくる。

声に弾かれた私は急いで彼の自転車の後ろに乗った。


「しっかり掴まってろよ」


ケイさんは肩で息をしながら、ペダルに足を掛けた。
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