青騒-I SAY LOVE-

無事にケイさんの診察が終わると、私達は病院を後にしてたむろ場へと向かった。
 

ケイさん、熱があるから、私は徒歩でも良かったんだけど、「大丈夫だって」の一点張りで私を自転車の後ろへ。
無理しているんじゃないかなって思いつつも、ケイさん自身早くたむろ場に着きたい気持ちがあるだろうから、行為に甘えさせてもらった。


たむろ場に着くと、ケイさんは早速チームメート達から声を掛けていた。
 

最初こそ迷惑を掛けた、心配を掛けてしまった、と申し訳なさからなのか決まり悪そうな顔を作っていたんだけど、次第しだいにいつもの笑顔へ。

まあ…キヨタさんからは熱烈な歓迎を受けていたけれど(本人は「だぁああくっ付くなって!」と騒いでいた)、それでもケイさんは笑顔。皆の心配していた気持ち、そしていつもどおりに接してくれる安堵が自然と彼を綻ばせたんだと思う。


実はなによりもケイさんがたむろ場に顔を出して喜んでいたのは、キヨタさん、ではなくヨウさんだったりする。


ヨウさんは偵察していたのか、一番最後にたむろ場に来たわけなんだけどケイさんが来ていると分かるや否や、

「ケイじゃねえか!」

子供のように声を上げて満面の笑顔を零しながら彼に駆け寄っていた。
 
 
「なんだよ、今日来るなら来るって言えよ。熱は下がったのか?」

「まだ微熱はあるけど、病院に行くついでに顔を出そうって思ってさ。月曜からは学校にも行くつもりだよ」

「マジか! そっか、良かった。テメェがいねぇと俺の交通手段がなくて困るんだって」

「えええっ、俺ってそういう存在?」
 

「だってそれが俺の舎弟だろ?」

「そりゃスンマソですね、兄貴」


真顔で言うヨウさんとムッとするケイさん、だけど次の瞬間、破顔して拳をコツンと軽く合わせた。


「月曜はぜってー来いよ」「分かってるって。休み過ぎて留年したら不味いしな」「先輩になっちまうぜ? 俺」「バッカ、その時は一緒に苦行しようって!」「俺も留年しちまうのかよ!」


嗚呼、本当に仲の良い…異色の舎兄弟だと思う。
 

派手でお洒落さんな不良のヨウさんと、大人しくて地味なケイさんがこうやって悪ノリをかまして笑い合うなんて。

< 173 / 322 >

この作品をシェア

pagetop