青騒-I SAY LOVE-
んんん? わっかんねぇぞ、全然。
何がどう違うんだ。
その高さがあるのって、ハイヒールなんじゃないのか? パンプスなのか?
てか、俺は女の子の靴の種類なんて知らねぇえええ!
だって男兄弟しかいねぇし、母さんの靴とか着目したことナッシングだもの!
ファッションに疎いからもっとわっかんねぇ!
頭上にクエッションマークを浮かべる俺はココロの足に注目。
あみあみの輪状になったそれは…、
「パンプス?」
「いいえサンダルです」
ええぇえ、ナニがどう違うの?
俺には全然分からないんだけど。
女の子のファッションの域は俺には未知、未知過ぎる。
なんっつーか、俺にとって女の子の靴を人間で例えると、目前にいる西洋人はイギリス人でしょうか、フランス人でしょうか、イタリア人でしょうか、さあ答えてみんしゃいって言われてるのと同じだ。
ちっとも区別つかねぇ!
靴屋を後にした後、今度はココロ、服屋の前で立ち止まった。
「わぁー。可愛い」
声を上げてレースの入ったワンピースを見ている姿に、俺がわぁお可愛いとか、ほざきたくなった。
うん、俺の阿呆のドチクショウ、一度死ねばいいのに。
「可愛いなぁ。でも…うーん、このワンピース……、1万9千円…、さ、さすがブランドメーカー品。高いです。
だけどレース入ってて可愛いなぁ…、あ、ご、ごめんなさいケイさん。また寄り道しちゃって」
「いいよ。こうやってぶらっと歩いてるんだし、行きたいところあったら入っちゃおうよ。女の子って、あー…ショッピングウィンドウとか好きなんだろ?」
「ウィンドウショッピングです、ケイさん」
アウチ、恥ずかしい! やっちまったんだぜ! 俺ってば知ったかー!
でも意味的に一緒だろ!
カレーライスをライスカレーと言っちまったのと一緒だろ、それ!
クスクスと笑うココロに、俺は頬を掻いて誤魔化し笑い。
やっぱちょっと恥ずかしかったかも、カッコ悪ぞ、俺。知ったかはいかんぞ。