青騒-I SAY LOVE-
……さあてと、いつ渡そうか、これ。
こんなシチュエーションに遭遇したことのない俺は、タイミングが掴めず、買った袋をチラチラ。
驚かせたい、喜ばせたい一心で買ったけど、うーん、イメトレまでしなかったからいつ渡せばいいやら。
まあ、そんなことをしていたらココロも不審に思うわけで。
どうしたのかと俺を見た後、視線を下に落とす。
「あ」何か買ったんですか、あっさりとばれちまった。
ははっ、俺の阿呆。
雰囲気作りは大切なんじゃないか? なあ!
ばれないよう買った意味ナッシングじゃねえかよぉお!
だけど、ばれたからには今しかチャンスはない。
「ん」頷く俺はちょっとぶっきら棒な返事をしちまったけど、構わずぎこちなく袋を差し出す。
瞠目する彼女は、これまたぎこちなく受け取って店のロゴ入りテープを取って、中身を覗き込んだ。
一瞬の沈黙。
裂くようにバッと顔を上げるココロは、あたふたと棚にあるぬいぐるみと俺の買ったぬいぐるみを交互に見て赤面。
「こ、これ…、あの…、私に?」
「……、ん」
「じゃ…じゃあ、さっきお手洗いに行くって言ったのは…」
「……、口実、かな」
「で、でもさっき私…パンフレットも買ってもらって…、その…、私も何か」
「……、じゃあ…、今度何か作って欲しい」
物じゃなくて、俺は手料理が食べたいと彼女に告げた。これは本音だったりもする。
赤面が更に赤面になったココロは、コクコクと頷いて素直にプレゼントを受け取ってくれる。
「コロッケでしたよね?」
ケイさんの大好物、問い掛けに俺はうんっと頷いて破顔。
絶対に作ってくるから、ココロは固く約束を結んでくれた。
楽しみしていることを告げて、俺は彼女と一緒に売り場を後にする。