青騒-I SAY LOVE-
「ケイさんって…、ズルイですよね。こうやって人を驚かせるんですから」
棘のない文句に、「カッコつけさんだしな」お得意の調子ノリを発揮。
ぶーっと脹れるココロだったけど、大事そうに袋を抱いて、「通学鞄につけますから」と微笑んでくれた。
響子さんや弥生に自慢するんだと、他の皆にも自慢するんだとルンルンで言ってくれる。
……ちょ、ちょっと待とうか、皆に自慢すりゃ必然的に俺、からかわれる対象なんだけど。
「女の子でストップしようって。野郎共はぜぇって俺をからかってくるから!」
「ヤです。私、絶対にケイさんに買ってもらったことを、皆さんに自慢するんです」
うっわぁ、ココロさん、やる気だよ。
想像するだけで野郎共のあくどい面が眼に浮かぶんだけど。
心中でゲンナリしつつココロとぶらぶらしていると、視界の端にゲームショップ発見。
でかでかと新作ゲームの広告が貼ってあるものだから、俺はつい足を止めてしまった。
へえ、今度の新作は俺のお気に入りのRPGが……って、俺、デート中だぞ!
自分の趣味に目を向けちまうとかっ、向けちまうとか!
彼氏として減点っ!
十点は減点だっ!
「ごめん、ココロ。行こうか…って、あれ?」
またもやココロが行方不明に。
おっかしいなぁ、さっきまで俺の隣に。前にも後ろにもいないし…、あっれ、何処に。
「ケイさん、何してるんですか? 入りましょう」
出入り口でおいでおいでと手招きしているのは勿論我が彼女。
い、いつの間にっ…、あ、ちょっと、ココロ!
俺は駆け足で彼女とショップに入った。
ゲームなんて殆どしたことないだろうに、ココロはキョロキョロと周囲を見渡してソフトに目を向けている。