青騒-I SAY LOVE-
―――…あの日、あの時、あの瞬間まで私達の関係に変化は無かった。
お互いに両想いと知らなかった当時の私達は、表面上あくまで好(よ)きお友達でいましょう関係を貫く予定だった。
気持ちを伝え合う勇気なんてなかったし、諦めることが当然だと思っていたから。
けれど転機は訪れる。
きっかけは浅倉さん達と同盟を結び、“エリア戦争”と呼ばれる不良同士の喧嘩に参戦したことからだった。
“廃墟の住処”と呼ばれる商店街(殆どシャッター通りなんだけど)の陣地を巡って私達は喧嘩に参戦。
三つのチームと争って、浅倉さん達のチームを陣地争いの勝者にさせることが私達の目的だった。
怖くない喧嘩、といえば嘘になる。
私自身、喧嘩なんて一抹もできないし、男の子ましてや不良になんて勝てる手腕なんてないから余計“エリア戦争”への参戦は怖かった。
でも怖いなんて言ってられなかった。
だって実際、その喧嘩という名の戦場に向かうのはヨウさん達なんだから。
足手纏いにだけはなりたくない。その一心で私は私なりに出来ることを探した。
例えば弥生ちゃんの情報収集について行ってお手伝いするとか。
話し合いをしている不良さん達の気晴らしになればと、近くのスーパーで飲み物を買って来るとか。
私にできる雑用を一生懸命こなした。
これで役立っているとは思えなかったけど、少し前にヨウさんに「元気ないな」って声掛けされて、私自身チームに役に立っているかどうかで悩んでいると告げた時、リーダーの彼は言ってくれた。
『テメェは立派な俺のチームメートだ。自信持てよ』
って。