青騒-I SAY LOVE-
―――…だからこそお互い、敵にでもヤラれちまったら大変なんだろうなぁ。
信頼ってのは互いに深ければ深くなるほど、相棒が傷付いた時に…、強い激昂に駆られる。
冷静な判断ができなくなる。
そういうもんだ。
「絆ってのは諸刃の剣だ。絆は苦難さえ乗り越えさせられる力を発揮する。
同時に善悪の判断さえ分からなくさせる。あいつ等もそうならないといいけどな。お互いに理解者として見てるようだし」
まるで予言のように、浅倉さんはポツリ。
いつか舎兄弟にそんな状況が訪れるんじゃないかって懸念していた。
そんなこと、ないと思うんだけどな。
私は同調をしかねていた。舎兄弟を見つめる。
熱心に紙に書いてあることを説明しているケイさんと、相槌を打つヨウさん。
傍から見れば、地味くんのケイさんが不良のヨウさんに意見してるなんて異様な光景。
でも私達のチームでは普通の光景。
「おりゃあ、手前の舎兄弟のことと重ねちまってるのかもしれねぇな」
浅倉さんは失笑を零して、ガシガシと頭部を掻いた後、プルタブに手を掛けてコーラを開封した。
ぷしゅっと炭酸が産声を上げる。
「俺も舎弟がいなくなって…、一時期は善悪さえ…、んと、情けねぇ。
舎兄弟を結ばなきゃこんな気持ちに駆られずに済んだのかもしれねぇな。
そしたらまだ気持ち的にマシだったのかもしれねぇ。
……舎兄弟ってのは結べば必然と相棒が特別な存在になるのかもな」
「浅倉さん?」
「悪いな、俺の独り言につき合わせちまって。忘れてくれ。ちょい僻んでるだけなんだ、あの舎兄弟が当たり前のように傍にいるから羨ましくてな」