青騒-I SAY LOVE-
#02. 今なら言える、「特別になりたい」
浅倉さんと話したことで、私は“エリア戦争”の状況がどれだけ複雑化しているのかが理解できた。
“エリア戦争”には浅倉さん達の元チームメートとも対峙しないといけない。
元々浅倉さん達は戦力不足だったから、ヨウさんに同盟を求めてきたんだけど、改めてその状況を痛感。
中には仲が良かった人もいるだろうに、元チームメートと対立しないといけない。
どれだけそれが辛いことなのか、他チームの私には計り知れなかった。
“エリア戦争”に勝つことが本当に浅倉さん達のためなのか、片隅で疑念を抱いたけれど意見するなんて大それたことはできなかった。
複雑な気持ちを抱えて話し合いに参加していた私だけど、別件で複雑な感情を抱いていた。
それはしごく私情で、“エリア戦争”とはまったく関係のないこと。
そう、ケイさんのことだ。
馬鹿みたい私はケイさんの姿を目で追っている。
無意識ってところが、もはや重症なのかもしれない。
だけど自制が利かないほど、ケイさんの仕事をこなす姿はカッコ良いんだ。ほんとに。
ケイさんは“エリア戦争”に参入すると決定されたその日から、自分なりに出来ることを率先してやっていた。
不慣れなリーダーシップを取ったり、持ち前の土地勘をいかんなく発揮して仲間に情報を提供したり。
ヨウさんの補佐としても、商店街の地形のことで何度も意見していた。
戦法が立てられても、「それは無茶だ」土地的に無理があると意見して、より良い戦法を導き出す手助けをしていた。
熱心に仕事をこなしている姿はみんな一緒なのに、ケイさんだけより輝いて見えるのは片恋を抱いてるからなんだろうなぁ。
だからこそ、ケイさんが弥生ちゃんと会話している姿を見ると落ち込む。
だってケイさん、弥生ちゃんと話す時…、すっごく笑顔なんだもん。