青騒-I SAY LOVE-
「舎弟の彼女になるって決めたのは私ですから。
私、多少のことなら傷付いても大丈夫です。ケイさんが浮気したら、泣くどころか引っ叩くかもしれませんが」
「えー? 俺、浮気する前提? 信用されてないなぁ。ダイジョーブだって。俺、こう見えて一途いちず」
「引っ叩くって物騒だな」笑声を漏らすケイさんに、
「嘘です。信用してます」私も笑声を漏らした。
ケイさんがそういうことする人じゃないって知ってるし、私自身も浮気なんてしない。
というかまず浮気相手がいない…、このナリだと作るどころか撃沈…、率直に言えば、「だよなぁ」ケイさんがしみじみ頷いた。
「不良だからこそモテたりするけど…なあ? フツーの中でも日陰っ子がモテようとするには相当努力がいるよな」
「まったくです。化粧や髪染めとかをしてみればいいんでしょうけど、風紀検査に捕まる方がヤですし」
「それそれ! メンドクサイったらありゃしないって! 極力教師達とは関わりたくないしな。まあ…最近よく呼び出し食らってるけど」
「私もなんです。響子さん達とサボっちゃって」
なんだ一緒なんだな、ケイさんは短くなった煙草の吸殻を角材に押し付ける。
後でティッシュに包んで捨てようって発言するところがケイさんらしい。
とても真面目な性格だと思う。
まあ根っからの真面目、ではないと思うけれど。
例えば夏休みの宿題は最終日直前でスパートをかける、とか。
私自身もそういうタイプで、夏休みの課題研究だけはいつも最終日まで頭を悩ませていたっけ。
上辺だけ真面目にしている私だからこそ、同じように上辺だけ真面目にしているケイさんとはとても馬が合う。
初対面から親近感を抱いていたから当然といえば、当然だろうけれど。
風紀検査も捕まりたくないから真面目に規則を守っている。
周りが髪を染めていても、化粧をしていても、やっぱり風紀検査に使ったらヤなわけで…、「だけど」私は不意に脳裏に過ぎる。
それは女の子としての気持ちなのかもしれない。
思ったことをポロッと口に出した。