青騒-I SAY LOVE-
折角頂いたチケットなのに、嗚呼、何処に落としたんだろう。
絶対倉庫から倉庫裏までのルートに落としてきた筈っ、嗚呼、嗚呼、でも無さそう!
どうしようどうしよう、慌てふためく私にケイさんは遠目のままポンポンっと肩を叩いてきた。
「うん。取り敢えず落ち着こうか」の声と一緒に、「ハイコレ」探し求めていたチケットを差し出してくれる。
ケイさんが落としたチケットを拾ってくれていたんだ!
「良かった」私はソレを受け取ってホッと胸を撫で下ろした。
「無くしたかと思いました、良かったです。ありがとうございます、ケイさん」
「………」
あれ?
笑顔でお礼を言った筈なのに、ケイさん遠目のまま。
首を傾げた瞬間、
「ぷははっ!」
盛大な笑い声が倉庫内から聞こえてきた。
嫌な予感がしてぎこちなーくケイさんと近くの窓辺を見やれば、窓枠を叩いて大爆笑しているヨウさんの姿。
ゲッラゲラ笑っているその姿にデジャヴを感じるのは、私だけ?
「て、て、テメェ等っ。なんだその漫才なやり取りっ、あーおかしい! ココロっ、最高過ぎるだろ! け、ケイから逃げてたんじゃないのかよっ!
さすがは調子ノリ舎弟の彼女っ、ククッ、腹いてぇ! ツボるっ!」
「よ…ヨウ。お前、いつからそこでデガバメッ。ありえねぇんだけど! あ、おい、待てよヨウ!」
お前、最悪!
ギャンギャン喚いて大爆笑しているヨウさんに悪態を付くケイさん。
赤面したまま、窓枠を乗り越えてヨウさんを追い駆け回し始める。
取り残された私はといえば、羞恥と闘いながらも貰ったチケットを大事に胸に押し当てていた。
だって仕方が無いじゃないですか。
本当に楽しみにしているのだから、チケット落とした時は凄く焦ったんですもん。
今度の土曜日はずっと二人きりってこともあって、凄く楽しみなんですよ? ケイさん。
だから焦ったのは当然のことで。