青騒-I SAY LOVE-

大きな雫を二、三粒目から頬に滑らせて、「はい」うんうんと何度も私は頷き、彼の手を握り締めた。

痛いほど握り締めているにも関わらず、ケイさんは何も言わない。

「大丈夫」ちゃんと好きだよ、不安を察して言葉にしてくれる。

もっと涙が溢れた。
嬉しくても涙って出るものなんだね。

あったかい感情が雫になって止め処なく零れ落ちる。
 


「ふぁ~…早速…見せつけられた…。あまい」



と、シズさんが欠伸を零して一言。

「え?」いやそんなつもりはっ、ケイさんは一変してアタフタアタフタ。

口笛を吹くワタルさんはナニ、彼女を泣かせてるんだと指差した。

「純愛っスね」

流石は俺っちの兄貴、感動する光景っス!
キヨタさんは間違った方向に感動しているし。
 

「おいこら、ケイ。妹分のココロを泣かせたら、マジどうなるか、ちゃーんと肝に銘じとけよ」

 
極めつけにケイさん、満面の笑顔で響子さんは脅されているし。

「うぃっす!」

肝に銘じときますと敬礼をするケイさんは、

「俺のためを思うなら泣き止んでくれよココロ」

早速、感涙している私を泣きやまそうと声を掛けてきた。
かなり焦っているみたい。

矢継ぎ早に慰めてくれる。


「ココロ。大丈夫だからさ、もう泣き止めって。泣き止んでくれないと俺、響子さんに殺されるんだけど! マジだぞ、本気だぞ、響子さんならやりかねないぞ! 付き合い始めて即、命日を迎えるとか不幸過ぎる!

だからな、泣き止んでおくれよココロさん。
それとも、君は成り立ての彼氏が此処で果ててもいいのか?

ココロはそれでもいいのか!

一日してフリーになっても宜しゅう?! レッツ、ファイナルアンサー!」
 

オーイェーイ、傍観している皆さんも回答をどうぞ。受け付けます。

周囲にも意見を煽るケイさん。口を揃えて「OK」と言われたものだから、皆、薄情だと大袈裟に彼は嘆いてみせた。嗚

呼、何気にムードメーカーで笑いを誘う彼が本当に可愛らしくて愛おしくてキザ。

だけど不良達のため、仲間のために突っ走る男前さん。



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